2024年度 EJU 物理 振り子

ステップ① この問題で求める量は何か

この問題で求める量は何か

まず確認する。

この問題で 求めるものではない のは次の量である。

  • 角度 \( \theta_0 \)
  • 位置
  • 速さ

この問題で求めるのは

→ 糸の張力の大きさの 最大値 \( F \)

  • 「最大値」とは、ある一瞬の値ではなく、運動全体の中で最も大きくなる値を指す。
  • 本問は、力(張力)の最大値を問う問題であることを、まずここで固定しておく。

【注意ポイント】

「最大値」=「一番端の位置」ではない。

「最大値」とは、運動全体の中で数値が最も大きくなる値を指す。

位置が一番遠い瞬間や、角度が最大の瞬間とは、必ずしも一致しない

(※ 試験では非常によくある読解上の誤り)

ステップ② 張力の最大値はどの位置で出るか?

張力の最大値はどの位置で出るか?

次の3点のうち、糸の張力が 最大 となる位置を考える。

  • A(左端)
  • B(最下点)
  • C(右端)
振り子の運動とA,B,Cの位置関係を示す図

ステップ③ 張力の最大値は最下点Bで生じる

張力の最大値は最下点Bで生じる

最大張力は最下点Bで生じる

張力の最大値は、最下点Bで生じる。

  • 最下点では 速さ v が最大
  • 円運動のための力(向心力)が必要

→ その結果、張力が最も大きくなる。

振り子の張力が最下点Bで最大になることを示す図

ステップ④ 「張力」とは何か?

「張力」とは何か?

用語Ⅰ:張力(tension)

【この問題での張力 T とは】

  • 糸が質点 m を引く力
  • 物体に実際に働いている力の一つ
  • 運動方程式に直接登場する力

【重要なポイント】

  • 張力は、重力だけで決まるわけではない
  • 運動の速さにも依存する

→ 速さが大きいほど、張力も大きくなりやすい

【この時点で立ててよい見通し】

→ 速さが最大の場所で、張力も最大になりそう(※ まだ結論ではない)

ステップ⑤ 「向心力」とは何か?

「向心力」とは何か?

用語Ⅱ:向心力(centripetal force)

【向心力とは】

  • 物体が円運動を続けるために必要な力
  • 常に円の中心方向に向かって働く

【この問題での向心力】

  • 振り子は円運動をしている
  • 最下点Bでは
    • 速さが最大
    • 円運動を保つための向心力も最大

【重要な関係】

→ この向心力は、糸の張力によって生み出されている

【ここで分かること】

→ 最下点では

「重力」+「向心力のための力」

の両方を、張力が支えている

ステップ⑥ 最下点での力のつり合い(運動方程式)

最下点での力のつり合い(運動方程式)

最下点Bに注目する

最下点Bでは:

  • 物体は円運動をしている
  • 速さは最大
  • 向心力が必要

【働いている力】

  • 上向き:糸の張力 T
  • 下向き:重力 mg

【向心力との関係】

中心(支点)方向の力の合力が、向心力になる。

よって、

\[T = mg + \frac{mv^2}{L}\]

この式は、最下点Bにおいてのみ成り立つ。

  • mg:重力を支えるための力
  • \( \frac{mv^2}{L} \):円運動を維持するために必要な力

【ここが重要】

→ この式は「最下点B」でのみ成り立つ

→ 張力 T

重力を支える力」+「円運動を維持する力

の合計になっている

ステップ⑦ 「エネルギー保存則」とは何か?

「エネルギー保存則」とは何か?

用語Ⅲ:エネルギー保存則(energy conservation)

【エネルギー保存則とは】

物体に働く力が

  • 重力
  • 張力(仕事をしない力)

のみで、摩擦や空気抵抗を無視できるとき、

物体の 力学的エネルギー は一定に保たれる。

※ 本問で扱うエネルギー保存則は、

力学分野における「機械的エネルギー保存則」である。

力学的エネルギーとは、

運動エネルギーと位置エネルギーの和である。

\[E = \frac{1}{2}mv^2 + mgh = 一定\]

【この問題で重要な点】

  • 糸の張力は仕事をしない
  • そのため、張力はエネルギー保存の式には現れない
  • エネルギー保存を使うことで、速さ v を求めることができる

→ 位置エネルギーの減少分 = 運動エネルギーの増加分

ステップ⑧ エネルギー保存則で速度を求める

エネルギー保存則で速度を求める

糸の長さは一定で、空気抵抗や摩擦は無視できる。
したがって、この運動では力学的エネルギーが保存される。

初期位置(角度 \( \theta_0 \))では、物体は静止しているため、運動エネルギーは 0 である。

最下点では、位置エネルギーの減少分が、そのまま運動エネルギーになる。

高さの変化は

\[h = L(1 – \cos\theta_0)\]

よって、エネルギー保存則より 次の関係が成り立つ。

\[\frac{1}{2}mv^2 = mgL(1 – \cos\theta_0)\]

この式から、最下点での速度 \( v \) を求めることができる。

ステップ⑨ 最大張力を求める(答え)

最大張力を求める(答え)

v^2 を張力の式に代入して、最大張力を求める

ステップ⑥で得た張力の式は、

\[T = mg + \frac{mv^2}{L}\]

また、ステップ⑧で得たエネルギー保存の結果は、

\[\frac{1}{2}mv^2 = mgL(1 – \cos\theta_0)\]

まず、ステップ⑧の式から v^2 を求める。

\[v^2 = 2gL(1 – \cos\theta_0)\]

これをステップ⑥の式に代入すると、

\[T = mg + \frac{m \cdot 2gL(1 – \cos\theta_0)}{L}\]

よって、

\[T = mg + 2mg(1 – \cos\theta_0)\]

したがって、張力の最大値 F

\[F = mg(3 – 2\cos\theta_0)\]

→ 選択肢は (5)

解答

\[F = mg(3 – 2\cos\theta_0)\]

→ 選択肢は (5)