「力学」の用語

EJU物理の力学分野の全用語をまとめたページ


運動と力

【位置・変位(いち・へんい)】

定義

位置とは、ある物体が基準となる点からどこにあるかを表す量である。
変位とは、物体の移動の前後での位置の差を表す量であり、「どれだけ動いたか」を向きも含めて示す。

イメージ

位置は「今どこにいるか」を表すもので、例えば原点から右に3 mの場所などと表す。
一方、変位は「どこからどこへ動いたか」であり、例えば「右に5 m進んだ」や「左に2 m戻った」といった形で表す。

同じ場所に戻ってきた場合、移動距離はあっても、変位は0になる。

数式

位置を \(x\)(m)とすると、変位 \(\Delta x\) は次のように表される。

\[\Delta x = x_2 - x_1\]

ここで、\(x_1\) は初めの位置、\(x_2\) は後の位置である。

ポイント

  • 位置は「場所そのもの」、変位は「変化量」である
  • 変位には向きがあり、正負で表す
  • 元の位置に戻ると、移動距離はあっても変位は0になる

【速度(そくど)】

定義

速度とは、物体の位置が時間とともにどのように変化するかを表す量であり、「速さ」と「向き」の両方をもつ物理量である。したがって、速度はベクトル量として扱われる。

イメージ

同じ速さで動いていても、進む向きが違えば運動の様子は異なる。
例えば、東に進む場合と西に進む場合では、速さが同じでも速度は異なる。

また、円運動のように速さが一定でも向きが変わるとき、速度は変化していると考える。このように、速度は「どの方向にどれだけ進むか」を表す量である。

数式

平均速度は、位置の変化量と時間の関係で次のように表される。

\[v = \frac{\Delta x}{\Delta t}\]

ここで、\(v\) は速度(m/s)、\(\Delta x\) は位置の変化量(m)、\(\Delta t\) は時間(s)である。

また、瞬間的な速度は次のように表される。

\[v = \frac{dx}{dt}\]

これは、非常に短い時間での位置の変化を表している。

ポイント

  • 速度は「速さ」だけでなく「向き」も含むため、ベクトル量である
  • 速さが一定でも、向きが変われば速度は変化する(円運動など)
  • 平均速度と瞬間速度の違いを区別することが重要

【加速度(かそくど)】

定義

加速度とは、速度が時間とともにどのように変化するかを表す量である。
速度の「大きさ」だけでなく「向き」の変化も含めて考える。

イメージ

物体の速さがだんだん速くなるときや遅くなるときだけでなく、円運動のように進む向きが変わる場合も加速度がある。
たとえば、まっすぐ進んでいた自転車が曲がるとき、速さが同じでも向きが変わるため加速度が存在する。

数式

加速度 \(a\) は、速度 \(v\) の時間変化として次のように表される。

\[a = \frac{\Delta v}{\Delta t}\]

ここで、\(\Delta v\) は速度の変化(m/s)、\(\Delta t\) は時間の変化(s)である。

また、瞬間的な変化は次のように表される。

\[a = \frac{dv}{dt}\]

ポイント

  • 加速度はベクトル量であり、向きをもつ
  • 速さが一定でも、向きが変われば加速度はある
  • 加速度が一定の運動を等加速度運動という

【相対運動(そうたいうんどう)】

定義

相対運動とは、ある物体の運動を別の物体や観測者の立場から見たときの運動のことである。
どの基準(観測者)で見るかによって、速度や運動の見え方が変わる。

イメージ

電車の中で前に歩く人を考える。
地面から見ると「電車の速さ+歩く速さ」で動いているが、電車の中の人から見ると「歩く速さ」だけに見える。

このように、同じ運動でも「どこから見るか」で見え方が変わるのが相対運動である。

数式

相対速度は、次のように表される。

\[v_{A/B} = v_A - v_B\]

ここで、
\(v_A\) は物体Aの速度(m/s)
\(v_B\) は基準となる物体Bの速度(m/s)
\(v_{A/B}\) は「Bから見たAの速度」である

同一直線上の運動では、向きに注意して符号をつけることが重要である。

ポイント

  • 相対運動は「どの基準で見るか」によって値が変わる
  • 相対速度は単純な差で求められる(一直線運動の場合)
  • 向きを正負で表さないと誤答しやすい

【自由落下(じゆうらっか)】

定義

自由落下とは、物体が重力だけを受けて運動する現象である。空気抵抗などの影響を無視できるとき、物体は一定の加速度で落下する。

イメージ

高いところから物体を静かに離すと、だんだん速くなりながら落ちていく。このとき、他の力(空気抵抗など)を考えなければ、重力だけで動いている状態が自由落下である。

数式

自由落下では、加速度は重力加速度 \(g\) で一定となる。

\[a = g\]

また、初速度が0のとき、落下時間 \(t\) に対する速度 \(v\) と位置 \(x\) は次のようになる。

\[v = gt\]

\[x = \frac{1}{2}gt^2\]

ここで、\(g\) は重力加速度(約9.8 m/s²)、\(t\) は時間(s)である。

ポイント

  • 自由落下では重力以外の力を無視する
  • 加速度は常に一定で \(g\) になる
  • 質量に関係なく同じ運動をする(空気抵抗を無視した場合)

【水平投射(すいへいとうしゃ)】

定義

水平投射とは、物体を水平方向に初速度を与えて投げたときの運動である。
水平方向には等速運動、鉛直方向には重力による等加速度運動が同時に起こる運動である。

イメージ

机の上からボールを横に投げると、前に進みながら下に落ちる。
このとき、横方向の速さは変わらないが、下向きの速さはだんだん大きくなる。
その結果、軌道はまっすぐではなく、なめらかな曲線(放物線)になる。

数式

水平方向(x方向)は等速運動:

\[v_x = v_0\]

\[x = v_0 t\]

ここで、\(v_0\) は初速度(m/s)、\(t\) は時間(s)である。

鉛直方向(y方向)は自由落下運動:

\[y = \frac{1}{2} g t^2\]

\[v_y = g t\]

ここで、\(g\) は重力加速度(約9.8 m/s^2)である。

図1. 水平投射イメージ

合成速度の大きさは:

\[v = \sqrt{v_0^2 + (g t)^2}\]

ポイント

  • 水平方向と鉛直方向は独立に考える
  • 水平方向は等速、鉛直方向は等加速度運動になる
  • 軌道は放物線になる

【斜方投射(しゃほうとうしゃ)】

定義

斜方投射とは、物体を地面に対して斜め方向に初速度を与えて投げたときの運動であり、水平方向の等速直線運動と鉛直方向の等加速度運動(重力による運動)が同時に起こる運動である。

イメージ

ボールを斜め上に投げると、最初は上昇し、その後最高点に達してから落下する。このとき、横方向には一定の速さで進み続ける一方、縦方向では重力によって速度が変化する。その結果、軌道はなめらかな曲線(放物線)になる。

数式

初速度 \(v_0\) を水平方向と鉛直方向に分解する。

\[v_{0x} = v_0 \cos\theta\]

\[v_{0y} = v_0 \sin\theta\]

発射後の時間 \(t\)(s)における速度成分は次の通り。

\[v_x = v_{0x}\]

\[v_y = v_{0y} - g t\]

図1. 斜方投射イメージ

水平方向の運動: \[x = v_{0x} t\]

鉛直方向の運動: \[y = v_{0y} t - \frac{1}{2} g t^2\]

ここで、
\(v_0\) は初速度(m/s)、\(\theta\) は投射角、\(g\) は重力加速度(約9.8 m/s²)、\(t\) は時間(s)である。

ポイント

  • 水平方向と鉛直方向の運動は独立に考える
  • 水平方向には加速度がないため、速度は一定のままである
  • 軌道は放物線になり、最高点では鉛直方向の速度が0になる

【力(ちから)】

定義

力とは、物体の運動の状態(速さや向き)を変えたり、物体の形を変えたりする原因となる作用である。
物体同士の相互作用として現れ、押す・引く・ねじるなどの形で表れる。

イメージ

物体を押すと動き出したり、止まっていたものが加速する。また、ゴムを引っ張ると伸びる。
このように、「動きが変わる」「形が変わる」ときには必ず力が関係していると考えると理解しやすい。

数式

力と運動の関係は、ニュートンの運動方程式で表される。

\[F = ma\]

ここで、\(F\) は力(N)、\(m\) は質量(kg)、\(a\) は加速度(m/s²)である。

ポイント

  • 力は単独で存在するのではなく、必ず物体同士の相互作用として現れる
  • 力は大きさだけでなく向きをもつ量(ベクトル)である
  • 力が働くと、運動の変化(加速度)または変形が生じる

【重力(じゅうりょく)】

定義

重力とは、質量をもつ物体どうしの間にはたらく引力のことである。地球上では、地球と物体の間にはたらく引力として現れ、物体を地球の中心に向かって引きつける力として観測される。

イメージ

手を離すと物体が下に落ちるのは、地球がその物体を引いているためである。つまり、地面に向かって引っ張られているような状態であり、この引くはたらきが重力である。

また、地球だけでなく、月や太陽など、すべての質量をもつ天体どうしでも同じように引き合っている。

数式

地球の表面付近では、質量 \(m\) の物体には次のような重力がはたらく。

\[F = mg\]

ここで、\(F\) は重力(N)、\(m\) は質量(kg)、\(g\) は重力加速度(約 \(9.8\ \mathrm{m/s^2}\))である。

また、一般には万有引力として次のように表される。

\[F = G \frac{Mm}{r^2}\]

ここで、\(M\) は天体の質量(kg)、\(m\) は物体の質量(kg)、\(r\) は距離(m)、\(G\) は万有引力定数である。

ポイント

  • 重力は「地球が引く力」ではなく、質量をもつ物体どうしが引き合う力である
  • 地表付近では一定の加速度 \(g\) を用いて \(F = mg\) として扱う
  • 高さが大きく変わる場合は万有引力 \(F = G \frac{Mm}{r^2}\) を用いる

【垂直抗力(すいちょくこうりょく)】

定義

垂直抗力とは、物体が接している面から受ける力のうち、面に対して垂直な方向に働く力である。接触していることによって生じる反作用の一種であり、物体が面に押しつける力に対して、面が押し返す力として現れる。

イメージ

床の上に物体を置くと、物体は重力によって下向きに押される。同時に床は、その物体を支えるように上向きに押し返す。このときの「押し返す力」が垂直抗力である。

斜面の場合は、力は真上ではなく、面に対して直角の方向に働く。つまり、垂直抗力の向きは常に「面に垂直」であることが重要である。

数式

水平な面で静止している場合、垂直抗力 \(N\) は次のようになる。

\[N = mg\]

ここで、\(m\) は質量(kg)、\(g\) は重力加速度(m/s²)である。

斜面上では、重力の面に垂直な成分によって決まり、

\[N = mg \cos\theta\]

となる。ここで、\(\theta\) は斜面の傾き角である。

ポイント

  • 垂直抗力は「常に面に垂直な方向」に働き、鉛直方向とは限らない
  • 大きさは必ずしも \(mg\) と一致せず、状況(斜面・加速・他の力)で変化する
  • 摩擦力は垂直抗力の大きさに比例するため、摩擦問題の基準になる

【摩擦力(まさつりょく)】

定義

摩擦力とは、物体が接触している面に沿って動こうとするとき、または動いているときに、その運動を妨げる向きにはたらく力である。接触している2つの物体の間に生じる力であり、常に相対的な運動を打ち消す向きに働く。

イメージ

床の上で箱を押すと、すぐには動かず、強く押すと動き出す。このとき、動こうとするのを邪魔している力が摩擦力である。また、すべり出したあとも、動きを遅くする向きに力が働き続ける。つまり、止まっているときも動いているときも、運動を妨げる形で現れる力である。

数式

静止しているときの摩擦力(最大値)は次のように表される。

\[f \leq \mu_s N\]

ここで、\(f\) は摩擦力(N)、\(\mu_s\) は静止摩擦係数、\(N\) は垂直抗力(N)である。

すべっているときの摩擦力は次のように表される。

\[f = \mu_k N\]

ここで、\(\mu_k\) は動摩擦係数である。

ポイント

  • 摩擦力は常に「相対運動」または「動こうとする方向」と逆向きに働く
  • 静止摩擦力は一定ではなく、最大値 \(\mu_s N\) まで変化する
  • 一般に \(\mu_s > \mu_k\) であり、動き出す方が難しい

【張力(ちょうりょく)】

定義

張力とは、糸やロープのような柔らかい物体が引っ張られているとき、その内部に生じる力であり、物体の両端を引き寄せる向きにはたらく力である。

イメージ

糸で物体をつるしたとき、その糸はピンと張る。このとき、糸の中では常に引っ張り合う力が働いている。この力が張力であり、糸のどの部分でも同じように伝わると考える。

例えば、天井から物体を糸でつるすと、糸は物体を上に引き上げようとする力を伝える。この力が張力である。

数式

静止している物体に対しては、力のつり合いより

\[T = mg\]

と表される場合がある。

ここで、\(T\) は張力(N)、\(m\) は質量(kg)、\(g\) は重力加速度(m/s²)である。

また、加速度がある場合は運動方程式より

\[T - mg = ma\]

のように表される。

ここで、\(a\) は加速度(m/s²)である。

ポイント

  • 張力は糸に沿った方向に働き、押す力ではなく引く力としてのみ働く
  • 軽くて伸びない糸では、張力は糸のどの位置でも同じとみなす
  • 加速度がある場合は、張力と重力のつり合いではなく運動方程式で考える

【弾性力(だんせいりょく)】

定義

弾性力とは、物体が変形したときに、その変形を元に戻そうとして働く力である。
ばねやゴムなどのように、伸びたり縮んだりした物体に生じる。

イメージ

ばねを引っ張ると、手を離したときに元の長さに戻ろうとする。
このとき、ばねは引っ張られた方向と反対向きに力を出している。

つまり、変形させるほど強く元に戻ろうとする力が働くと考えるとよい。

数式

ばねの弾性力はフックの法則で表される。

\[F = kx\]

ここで、
\(F\) は弾性力(N)
\(k\) はばね定数(N/m)
\(x\) は自然長からの変位(m)である。

力の向きは変位と反対向きになる。

ポイント

  • 弾性力は「変形を元に戻す向き」に働く
  • フックの法則は、変形が小さい範囲でのみ成り立つ
  • ばね定数 \(k\) が大きいほど、同じ変位でも大きな力が必要になる

【浮力(ふりょく)】

定義

浮力とは、流体(液体や気体)の中にある物体に対して、下から上向きに働く力であり、その大きさは物体が押しのけた流体の重さに等しい。

イメージ

水の中に物体を入れると、軽くなるように感じる。これは、物体の下側の方が上側よりも強く押されるためである。
つまり、流体から受ける圧力の差によって、上向きの力(浮力)が生じる。

例えば、水中に沈めたボールは、手を離すと上に浮かび上がる。これは浮力が重力より大きいためである。逆に、石のように沈むものは、浮力よりも重力の方が大きい。

数式

浮力の大きさは、アルキメデスの原理により次の式で表される。

\[F = \rho g V\]

ここで、
\(\rho\) は流体の密度(kg/m³)、
\(g\) は重力加速度(m/s²)、
\(V\) は物体が押しのけた流体の体積(m³)である。

ポイント

  • 浮力は「物体の体積」ではなく「押しのけた流体の体積」で決まる
  • 浮くか沈むかは、浮力と重力の大小関係で決まる
  • 浮力は圧力の差から生じる力であり、流体中であれば気体でも働く

【抗力(こうりょく)】

定義

抗力とは、流体(空気や水)の中を運動する物体が、その流体から受ける運動を妨げる向きの力である。
物体の運動方向とは反対向きに働くのが特徴である。

イメージ

空気中を走る車や、自転車で風を受けるときに感じる「押し戻される力」が抗力である。
速く動くほど強くなり、形が平らで広いものほど大きくなる。

数式

抗力の大きさは、一般に次のように表される。

\[F = \frac{1}{2} \rho C_d A v^2\]

ここで、\(\rho\) は流体の密度(kg/m³)、\(C_d\) は抗力係数、\(A\) は物体の断面積(m²)、\(v\) は速さ(m/s)である。

ポイント

  • 抗力は常に運動方向と逆向きに働く
  • 速さが大きいほど、抗力は急激に大きくなる(多くの場合 \(v^2\) に比例)
  • 物体の形状や表面状態によって大きさが変わる

【終端速度(しゅうたんそくど)】

定義

終端速度とは、物体が流体中(空気や水など)を運動するときに、重力と抵抗力がつり合い、加速度が0になって一定の速さで運動する状態の速度である。

イメージ

空気中で物体を落とすと、最初はどんどん速くなるが、速くなるほど空気の抵抗も大きくなる。やがて、下向きの重力と上向きの抵抗力が同じ大きさになり、それ以上速くならなくなる。このときの一定の速さが終端速度である。

例えば、雨粒やパラシュートは、ある速さに達するとそれ以上速くならずに落ち続ける。

数式

力のつり合いより、

\[mg = kv\]

ここで、\(m\) は質量(kg)、\(g\) は重力加速度(m/s²)、\(k\) は抵抗係数、\(v\) は速さ(m/s)である。

したがって終端速度 \(v\) は、

\[v = \frac{mg}{k}\]

となる(抵抗力が速さに比例する場合)。

ポイント

  • 終端速度では加速度は 0 になり、等速運動になる
  • 抵抗力は速さが大きくなるほど大きくなり、つり合いが生じる
  • 物体の形状や流体の性質によって終端速度は変わる

力のつり合い

【力の合成(ちからのごうせい)】

定義

力の合成とは、複数の力が同時に物体にはたらいているときに、それらを1つの力(合力)としてまとめることである。合力は、それらすべての力と同じ効果をもつ1つの力として表される。

イメージ

物体に2つ以上の力が同時にはたらくとき、それぞれの力が別々に作用するのではなく、全体として1つの動きが決まる。

例えば、物体を右と上に同時に引くと、物体は斜め方向に動く。このときの斜めの力が、2つの力をまとめた合力である。

数式

力はベクトル量であるため、向きと大きさを考えて合成する。

2つの力 \(F_1\)、\(F_2\) の合力 \(F\) はベクトル和で表される。

\[\mathbf{F} = \mathbf{F_1} + \mathbf{F_2}\]

2つの力が直角のとき、合力の大きさは次のようになる。

\[F = \sqrt{F_1^2 + F_2^2}\]

ここで、\(F_1\)、\(F_2\) はそれぞれの力の大きさ(N)、\(F\) は合力の大きさ(N)である。

ポイント

  • 力の合成では「向き」が重要であり、単純な足し算ではない
  • 力はベクトルとして扱い、矢印(作図)で考えると理解しやすい
  • 合力は複数の力を1つにまとめたもので、運動方程式ではこの合力を使う

【力の分解(ちからのぶんかい)】

定義

力の分解とは、1つの力を、互いに独立な複数の方向の力に分けて表すことである。
特に、直交する2方向(通常は水平方向と鉛直方向)に分けることが多い。

イメージ

斜めに引っ張られている物体を考えると、その力は「横に引く力」と「上に引く力」に分けて考えることができる。
つまり、1つの斜めの力を、2つの方向の働きに分けて理解する方法である。

数式

大きさ \(F\) の力を、角度 \(\theta\) を使って分解すると、次のようになる。

\[F_x = F \cos \theta\]

\[F_y = F \sin \theta\]

ここで、\(F\) は力の大きさ(N)、\(\theta\) は基準方向からの角度である。
\(F_x\) は水平方向の成分、\(F_y\) は鉛直方向の成分を表す。

ポイント

  • 力はベクトル量なので、向きごとに分けて考えることができる
  • 分解の方向は自由だが、直交する2方向に分けると扱いやすい
  • 運動方程式では、各方向ごとに力を分解して考えることが重要

【力のつり合い条件(ちからのつりあいじょうけん)】

定義

力のつり合い条件とは、物体に複数の力がはたらいているとき、それらの力が互いに打ち消し合い、物体の運動状態が変化しない状態の条件である。
具体的には、物体に働く力の合力が0になることをいう。

イメージ

物体を左右から同じ強さで引っ張ると、物体は動かない。このとき、左右の力がつり合っている。
また、机の上に静かに置かれている物体は、下向きの重力と上向きの垂直抗力がつり合っているため、動かない。

つまり、力は加わっていても、全体として打ち消し合えば、物体は止まったまま、または等速で動き続ける。

数式

力のつり合い条件は、合力が0であることとして表される。

\[\sum F = 0\]

例えば、一直線上の運動では

\[F_1 + F_2 + \cdots = 0\]

と表される。
ここで、\(F\) は力(N)であり、向きを考えて符号をつける。

ポイント

  • 力が「ない」のではなく、「打ち消し合っている」状態である
  • 静止している場合だけでなく、等速直線運動でも成り立つ
  • 向き(符号)を正しく扱わないと、つり合い条件は崩れる

剛体

【モーメント(もーめんと)】

定義

モーメントとは、ある点や軸のまわりで物体を回転させようとするはたらきの大きさを表す量である。
力の大きさだけでなく、その力がどの位置に作用するか(距離)によって決まる。

イメージ

ドアを開けるとき、取っ手を押すと簡単に開くが、蝶番(ちょうつがい)に近いところを押しても開きにくい。
これは、同じ力でも回転の中心から遠いほど回しやすくなるためである。
つまり、「どれだけ回そうとするか」は力と距離の組み合わせで決まる。

数式

モーメント M は、次の式で表される。

\[M = F \times l\]

ここで、
\(F\) は力(N)、
\(l\) は回転の中心から力の作用点までの距離(m)である。

モーメントの基本図
図1.支点から距離lの位置に力Fが作用するときのモーメント

力と距離が直角でない場合は、

\[M = F l \sin\theta\]

と表される。
\(\theta\) は力の向きと腕のなす角である。

ポイント

  • モーメントは「力の大きさ」だけでなく「距離」にも依存する
  • 回転の中心から遠いほど、同じ力でも大きなモーメントになる
  • 力の向きが腕と平行なとき(\(\theta=0^\circ\))はモーメントは0になる

【合力(ごうりょく)】

定義

合力とは、複数の力が同時に物体に作用しているとき、それらの力と同じ効果をもつ1つの力のことである。複数の力をまとめて1つに置き換えた力であり、力のベクトル和として表される。

イメージ

物体にいくつかの方向から力が加わっているとき、そのまま考えると複雑になる。そこで、それらをすべてまとめて「1つの力だけが働いている」と考えると、運動をシンプルに理解できる。

例えば、右に押す力と左に押す力が同時に働くと、どちらが強いかによって最終的な動きが決まる。このときの「結果としての1つの力」が合力である。

数式

合力はベクトルの足し算で表される。

\[\vec{F} = \vec{F_1} + \vec{F_2} + \cdots\]

ここで、\(F\) は合力(N)、\(F_1\)、\(F_2\) はそれぞれの力(N)である。

同一直線上の場合は符号を考えて足し引きする。

\[F = F_1 + F_2\]

ポイント

  • 合力は「複数の力を1つにまとめたもの」であり、運動は合力で決まる
  • 力は向きをもつため、単純な足し算ではなくベクトルとして扱う
  • 合力が0のとき、物体は静止または等速直線運動をする

【偶力(ぐうりょく)】

定義

偶力とは、大きさが等しく、向きが反対で、平行な2つの力が、同一直線上ではない位置に作用することで生じる力の組である。
このとき、物体には並進(移動)は起こらず、回転だけが生じる。

イメージ

ドアを開けるとき、ノブを押す方向と、蝶番(ちょうつがい)側の固定の働きによって、ドアは回転する。このときのように、左右で逆向きの力が働き、物体がその場で回る状況が偶力である。

また、ハンドルを回すときも、両手で逆向きの力を加えることで回転が起こる。このように「押す・引く」がセットになって回すイメージで考えるとよい。

数式

偶力の強さは「モーメント(トルク)」で表される。

\[M = F d\]

ここで、\(F\) は力の大きさ(N)、\(d\) は2つの力の作用線の間の距離(m)である。

このモーメントは、回転の向きをもち、どの点まわりで考えても同じ値になる。

ポイント

  • 偶力は合力が0であり、物体は移動せず回転だけする
  • モーメントは基準点に依らず一定になる(これが最大の特徴)
  • 2つの力は平行・反対向き・同じ大きさである必要がある

【重心(じゅうしん)】

定義

重心とは、物体の重さ(重力)が1点に集中しているとみなせる点である。
この点に力が働くと考えることで、物体全体の運動やつり合いを簡単に扱うことができる。

イメージ

板や棒などの物体を1点で支えたとき、そのまま静止できる位置が重心である。
たとえば、定規を指の上にのせてバランスが取れる位置が重心にあたる。
形が左右対称なら中央にあるが、形や質量の分布によっては中心からずれることもある。

数式

質量が点ごとに分かれている場合、重心の位置は次のように表される。

\[x_G = \frac{m_1 x_1 + m_2 x_2 + \cdots}{m_1 + m_2 + m_3 + \cdots}\]

ここで、\(x_G\) は重心の位置(m)、\(m\) は各部分の質量(kg)、\(x\) は位置(m)である。

連続した物体では、積分を用いて同様に求める。

ポイント

  • 重心は「力が1点に集まる」と考えるための仮想的な点である
  • 物体の形だけでなく、質量の分布によって位置が決まる
  • 重心の真下に支持点があれば、物体は安定してつり合う

【剛体のつり合い(ごうたいのつりあい)】

定義

剛体のつり合いとは、物体に働くすべての力とモーメント(回転のはたらき)がつり合っており、物体が並進運動も回転運動もしない状態のことである。

イメージ

物体がただ止まっているだけでなく、「動こうとしても動かない」状態を考える。例えば、机の上に置いた物体は、重力と机からの垂直抗力がつり合っているため動かない。

さらに、ドアを押しても回らないときは、力の大きさだけでなく、回転させるはたらき(モーメント)もつり合っている状態である。

数式

剛体のつり合いは、次の2つの条件で表される。

\[\sum F = 0\]

\[\sum \tau = 0\]

ここで、\(F\) は力(N)、\(\tau\) はモーメント(N・m)である。

ポイント

  • 力のつり合い(並進)とモーメントのつり合い(回転)の両方が必要
  • 一方だけ満たしても、回転したり動いたりするため不十分
  • モーメントは「支点からの距離 × 力」で決まり、向きも重要

運動方程式

【ニュートンの第1法則(にゅーとんのだいいちほうそく)】

定義

ニュートンの第1法則とは、外から力がはたらかないとき、物体は静止しているならそのまま静止し、運動しているならそのまま等速直線運動を続けるという法則である。
この性質を「慣性」という。

イメージ

机の上に置いた物体は、押さなければ動かない。また、なめらかな氷の上をすべる物体は、いったん動き出すと止める力がない限りずっと同じ速さで進み続ける。
つまり、物体は「今の状態を保とうとする性質」をもっていると考える。

数式

運動方程式で考えると、合力が 0 のときは加速度は 0 になる。

\[\sum F = 0 \Rightarrow a = 0\]

ここで、\(F\) は力(N)、\(a\) は加速度(m/s²)である。

ポイント

  • 外力が 0 のときだけ成り立つ(力があると運動は変化する)
  • 「止まっている」だけでなく「等速直線運動」も同じ状態として扱う
  • 慣性は質量が大きいほど大きく、動きにくさの原因になる

【ニュートンの第2法則(にゅーとんのだいにほうそく)】

定義

ニュートンの第2法則とは、物体に力が加わると、その力の大きさに比例して加速度が生じるという法則である。
また、その加速度は物体の質量に反比例する。

イメージ

軽い物体は、同じ力で押すと大きく加速するが、重い物体はあまり加速しない。
つまり、「押す力の強さ」と「動きにくさ(質量)」のバランスで加速の大きさが決まると考えるとよい。

数式

ニュートンの第2法則は、次の式で表される。

\[F = ma\]

ここで、\(F\) は力(N)、\(m\) は質量(kg)、\(a\) は加速度(m/s²)である。

ポイント

  • 力が大きいほど加速度は大きくなる
  • 質量が大きいほど同じ力でも加速度は小さくなる
  • 力と加速度は同じ向きになる

【ニュートンの第3法則(にゅーとんのだいさんほうそく)】

定義

ニュートンの第3法則とは、ある物体が他の物体に力を加えるとき、必ず同時に、同じ大きさで反対向きの力を受けるという法則である。この2つの力は一対になって現れ、「作用」と「反作用」と呼ばれる。

イメージ

例えば、壁を手で押すと、自分の手も壁から押し返される。このとき、「自分が壁を押す力」と「壁が自分を押し返す力」は、同じ大きさで反対向きである。

また、ロケットが後ろにガスを噴き出すと、その反作用として前に進む。このように、力は必ずペアで現れると考えると理解しやすい。

数式

作用と反作用の関係は、次のように表される。

\[\mathbf{F}_{AB} = - \mathbf{F}_{BA}\]

ここで、\(\mathbf{F}_{AB}\) は物体Aが物体Bに及ぼす力(N)、\(\mathbf{F}_{BA}\) は物体Bが物体Aに及ぼす力(N)である。

ポイント

  • 作用と反作用は必ず同時に存在し、どちらか一方だけが存在することはない
  • 大きさは等しく、向きは必ず反対になる
  • 2つの力は異なる物体に働くため、打ち消し合うことはない

【運動方程式(うんどうほうていしき)】

定義

運動方程式とは、物体に働く力と、その物体の運動の変化(加速度)との関係を表す基本的な法則である。力が働くと、物体はその力に応じた加速度で運動の状態を変える。

イメージ

止まっている物体を押すと動き出し、強く押すほど速く動き始める。また、重い物体は同じ力で押しても動きにくい。このように、「どれくらいの力で、どれくらい動きが変わるか」を決めているのが運動方程式である。

つまり、力は運動の原因であり、その結果として加速度が生じると考える。

数式

運動方程式は次の式で表される。

\[F = ma\]

ここで、\(F\) は物体に働く合力(N)、\(m\) は質量(kg)、\(a\) は加速度(m/s²)である。

この式は、力が大きいほど加速度が大きくなり、質量が大きいほど加速度が小さくなることを示している。

ポイント

  • 力は「合力」で考える(すべての力をまとめる)
  • 加速度の向きは、合力の向きと同じになる
  • 質量が大きいほど、同じ力でも動きにくい

【単位系(たんいけい)】

定義

単位系とは、物理量を測るときの基準となる単位の組み合わせである。長さ・質量・時間などの基本的な単位を定め、それをもとにすべての物理量を一貫して表す仕組みである。

イメージ

たとえば長さを測るときに、メートルで測るかセンチメートルで測るかによって数値は変わる。しかし、どの単位を使うかを最初に決めておけば、すべての量を統一して扱える。

単位系は「ものさしのルールを統一すること」と考えるとよい。

数式

物理量は、数値と単位の積で表される。

\[\text{物理量} = \text{数値} \times \text{単位}\]

例えば、長さは

\[L = 2 \ \mathrm{m}\]

のように表す。

また、速度は

\[v = \frac{x}{t}\]

で表され、その単位は m/s となる。

ポイント

  • 単位系は物理量を一貫して表すためのルールである
  • 基本単位(m・kg・sなど)から他の単位が決まる
  • 異なる単位系では数値は変わるが、物理的な意味は同じである

【次元(じげん)】

定義

次元とは、物理量を構成する基本的な量の種類を表したものである。
長さ・質量・時間などを基準として、ある物理量がどのような組み合わせでできているかを示す。

イメージ

例えば、速さは「長さ ÷ 時間」で表されるので、長さと時間の組み合わせでできている量である。
このように、「どの基本量がどのように組み合わさっているか」を見るのが次元である。

数式

物理量は、基本となる量(長さ・質量・時間)の組み合わせとして表すことができる。

\[[L]:長さ,\quad [M]:質量,\quad [T]:時間\]

例えば、速さは「長さ ÷ 時間」で表されるので、次元では

\[[v] = \frac{[L]}{[T]} = [L][T]^{-1}\]

と表す。

ポイント

  • 次元は「単位」ではなく「構造(組み合わせ)」を表す
  • 同じ次元をもつ量同士しか足し算・引き算はできない
  • 次元を使うと式の正しさ(次元の一致)を確認できる

エネルギー

【仕事(しごと)】

定義

仕事とは、物体に力がはたらいて、その力の向きに物体が移動したときに、力が物体に与えたエネルギーの量を表す物理量である。

イメージ

重い荷物を持ち上げるとき、力を加えて物体を動かしているので「仕事」をしているといえる。
一方で、力を加えていても動かなければ、仕事はしていない。

つまり、「力をかけること」ではなく、「力によって動かすこと」が重要である。

数式

\[W = Fd\cos\theta\]

ここで、\(W\) は仕事(J)、\(F\) は力の大きさ(N)、\(d\) は移動距離(m)、\(\theta\) は力と移動方向のなす角である。

特に、力と移動方向が同じとき(\(\theta = 0^\circ\))は、

\[W = Fd\]

となる。

ポイント

  • 物体が動かない場合(\(d = 0\))は仕事は 0 になる
  • 力の向きと移動方向が垂直(\(\theta = 90^\circ\))のとき、仕事は 0 になる
  • 仕事はエネルギーの移動量を表し、単位はジュール(J)である

【仕事率(しごとりつ)】

定義

仕事率とは、単位時間あたりにどれだけの仕事が行われたかを表す量であり、エネルギーの変化の速さを示す物理量である。

イメージ

重い物体を持ち上げるとき、同じ高さまで持ち上げても、短い時間で一気に持ち上げる方が大きな仕事率になる。
つまり、どれだけ速くエネルギーを使ったり与えたりするかを表す量である。

数式

仕事率 \(P\) は、仕事 \(W\) と時間 \(t\) を用いて次のように表される。

\[P = \frac{W}{t}\]

ここで、\(P\) は仕事率(W)、\(W\) は仕事(J)、\(t\) は時間(s)である。

また、力 \(F\) が物体に働き、その向きに速さ \(v\) で動いているとき、仕事率は次のようにも表される。

\[P = Fv\]

ここで、\(F\) は力(N)、\(v\) は速さ(m/s)である。

ポイント

  • 仕事率は「仕事の量」ではなく「仕事の速さ」を表す
  • 同じ仕事でも、短時間で行うほど仕事率は大きくなる
  • 単位はワット(W)であり、1 W = 1 J/s である

【運動エネルギー(うんどうえねるぎー)】

定義

運動エネルギーとは、物体が運動していることによってもつエネルギーである。
速く動いている物体や質量の大きい物体ほど、その値は大きくなる。

イメージ

ボールをゆっくり投げたときと速く投げたときでは、当たったときの衝撃が違う。
これは、速いほど運動エネルギーが大きくなるためである。

また、同じ速さでも、軽いボールより重いボールの方が強い衝撃を与える。
つまり、速さと重さの両方が関係している。

数式

運動エネルギーは次の式で表される。

\[K = \frac{1}{2} m v^2\]

ここで、\(K\) は運動エネルギー(J)、\(m\) は質量(kg)、\(v\) は速さ(m/s)である。

ポイント

  • 速さが2倍になると、運動エネルギーは4倍になる(速さの2乗に比例する)
  • 静止している物体(\(v = 0\))の運動エネルギーは0である
  • 運動エネルギーはスカラー量であり、向きはもたない

【位置エネルギー(重力)(いちえねるぎー(じゅうりょく))】

定義

位置エネルギー(重力)とは、重力のはたらく場の中で、物体が位置によってもつエネルギーのことである。
物体が高い位置にあるほど大きくなり、低い位置にあるほど小さくなる。

イメージ

物体を持ち上げると、手を離したときに落ちるようになる。このとき、持ち上げたことでエネルギーが物体にたまっていると考える。
この「高さによってたまるエネルギー」が位置エネルギーである。

例えば、本を机の上に置くよりも棚の上に置いた方が、落ちたときに強くぶつかる。これは高い位置ほどエネルギーが大きいことを示している。

数式

重力による位置エネルギーは、次の式で表される。

\[U = mgh\]

ここで、
\(m\) は質量(kg)、
\(g\) は重力加速度(m/s²)、
\(h\) は基準位置からの高さ(m)である。

この式は、重力が一定(地表付近)である場合に成り立つ。

ポイント

  • 基準となる高さは任意に決められるため、絶対値よりも変化量が重要である
  • 高さが高いほど位置エネルギーは大きくなる
  • 運動エネルギーと相互に変換される(力学的エネルギー保存)

【位置エネルギー(弾性)(いちえねるぎー(だんせい))】

定義

位置エネルギー(弾性)とは、ばねが伸びたり縮んだりして変形しているときに、その状態によって物体やばねがもつエネルギーである。ばねが元の長さに戻ろうとする力に対応して蓄えられるエネルギーである。

イメージ

ばねを引っ張ると、手を離したときに元に戻ろうとする。このとき、ばねの中にはエネルギーがたまっていると考える。このエネルギーが、ばねを戻す運動のもとになる。

例えば、おもちゃのばねを強く引くほど、離したときに勢いよく戻る。これは、変形が大きいほど多くのエネルギーが蓄えられているためである。

数式

ばね定数を \(k\)(N/m)、自然長からの変位を \(x\)(m)とすると、弾性による位置エネルギー \(U\)(J)は次の式で表される。

\[U = \frac{1}{2}kx^2\]

ここで、\(x\) は伸びでも縮みでもよく、その大きさを用いる。

ポイント

  • 変位 \(x\) の2乗に比例するため、2倍伸ばすとエネルギーは4倍になる
  • ばねが自然長のとき、位置エネルギーは0とする
  • 重力による位置エネルギーとは別のエネルギーとして扱う

【力学的エネルギー保存(りきがくてきえねるぎーほぞん)】

定義

力学的エネルギー保存とは、外部からの仕事や摩擦などの非保存力がはたらかないとき、物体のもつ運動エネルギーと位置エネルギーの和が一定に保たれるという法則である。

イメージ

高いところから物体を落とすと、最初は位置エネルギーをもっているが、落ちるにつれてそれが運動エネルギーに変わる。
一番下では運動エネルギーが最大になり、位置エネルギーは最小になる。

つまり、エネルギーの「種類」は変わるが、全体の量は変わらないと考えると理解しやすい。

数式

力学的エネルギーは、運動エネルギーと位置エネルギーの和である。

\[E = K + U\]

ここで、\(E\) は力学的エネルギー(J)、\(K\) は運動エネルギー、\(U\) は位置エネルギーである。

保存が成り立つときは、

\[K_1 + U_1 = K_2 + U_2\]

となる。

運動エネルギーと位置エネルギーはそれぞれ

\[K = \frac{1}{2}mv^2\]

\[U = mgh\]

で表される。ここで、\(m\) は質量(kg)、\(v\) は速さ(m/s)、\(g\) は重力加速度(m/s²)、\(h\) は高さ(m)である。

ポイント

  • 保存が成り立つのは、摩擦や空気抵抗が無視できる場合である
  • エネルギーは「消える」のではなく、運動エネルギーと位置エネルギーの間で変換される
  • 基準の高さによって位置エネルギーの値は変わるが、差(変化量)は変わらない

運動量・衝突

【運動量(うんどうりょう)】

定義

運動量とは、物体の運動の状態を表す量であり、質量と速度の積で定義される。物体がどれだけ「動きにくいか」や「止まりにくいか」を表す量である。

イメージ

同じ速さで動いていても、軽い物体より重い物体の方が止めにくい。また、同じ質量でも速く動いているほど止めにくい。
つまり、重くて速い物体ほど運動量が大きく、「運動の勢い」が強いと考えるとよい。

数式

運動量 \(p\) は次の式で表される。

\[p = mv\]

ここで、\(m\) は質量(kg)、\(v\) は速度(m/s)である。

運動量はベクトル量であり、速度と同じ向きをもつ。

ポイント

  • 運動量は「質量 × 速度」で決まり、重さと速さの両方に依存する
  • ベクトル量なので、向きも重要(衝突問題で特に重要)
  • 外力が働かないとき、運動量は保存される(運動量保存則)

【力積(りきせき)】

定義

力積とは、物体にある時間のあいだ力が加わったとき、その力の効果の大きさを表す量である。力積は、物体の運動量の変化と等しくなる。

イメージ

ボールを手で軽く押すと少しだけ動くが、同じ力でも長く押し続けると大きく動く。逆に、短い時間でも強い力を加えれば同じくらい動かすことができる。
つまり、「力の大きさ」と「作用した時間」の両方が運動の変化に影響する。このまとめが力積である。

数式

力積 \(J\)(N·s) は、力 \(F\)(N)と時間 \(t\)(s)を用いて次のように表される。

\[J = Ft\]

また、運動量 \(p\)(kg·m/s)との関係は次のようになる。

\[J = \Delta p = m(v - u)\]

ここで、\(m\) は質量(kg)、\(u\) は初速度(m/s)、\(v\) は終速度(m/s)である。

ポイント

  • 力積は「力 × 時間」で決まり、短時間でも大きな力なら同じ効果になる
  • 力積は運動量の変化と等しい(衝突問題で特に重要)
  • 力が時間によって変わる場合は、グラフの面積として考える

【運動量保存則(うんどうりょうほぞんそく)】

定義

運動量保存則とは、外から力が加わらない系(外力が働かない系)では、系全体の運動量の和が時間が経っても変わらないという法則である。
つまり、物体どうしが衝突したり分離したりしても、全体としての運動量は一定に保たれる。

イメージ

氷の上で2人が押し合うと、一方が前に進むと同時に、もう一方は反対方向に動く。
それぞれの動きは違っても、全体としての「動きの量(運動量)」はつり合って変化しない。

また、物体同士がぶつかるとき、速さや向きは変わるが、全体で見ると「行きと帰りがつり合う」ように運動量が保たれると考えると理解しやすい。

数式

運動量 p は次のように表される。

\[p = mv\]

ここで、\(m\) は質量(kg)、\(v\) は速度(m/s)である。

運動量保存則は、2物体の場合、次のように表される。

\[m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2'\]

ここで、
\(m_1, m_2\) はそれぞれの質量、
\(v_1, v_2\) は衝突前の速度、
\(v_1', v_2'\) は衝突後の速度である。

ポイント

  • 外力がはたらかない(または無視できる)ときにのみ成り立つ
  • 運動量はベクトル量なので、向きを含めて考える必要がある
  • 衝突問題では「衝突前=衝突後」で式を立てるのが基本

【衝突(しょうとつ)】

定義

衝突とは、2つ以上の物体が短い時間の間に接触し、互いに大きな力を及ぼし合って運動状態(速度や向き)が変化する現象である。外力の影響が無視できる場合、運動量保存則が成り立つ。

イメージ

ボール同士がぶつかる場面を考えるとよい。ぶつかる瞬間に大きな力が働き、それぞれの進む向きや速さが変わる。
例えば、止まっているボールに動いているボールが当たると、運動が伝わって一方が止まり、もう一方が動き出すことがある。

数式

衝突では、外力が無視できるとき、運動量保存則が成り立つ。

\[m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2'\]

ここで、\(m\) は質量(kg)、\(v\) は衝突前の速度(m/s)、\(v'\) は衝突後の速度(m/s)である。

また、衝突の種類によっては力学的エネルギーも保存される。

\[\frac{1}{2} m_1 v_1^2 + \frac{1}{2} m_2 v_2^2 = \frac{1}{2} m_1 v_1'^2 + \frac{1}{2} m_2 v_2'^2\]

これは弾性衝突の場合に成り立つ。

ポイント

  • 衝突では基本的に運動量は保存される(外力が無視できる場合)
  • 力学的エネルギーが保存されるかどうかで「弾性衝突」と「非弾性衝突」に分かれる
  • 衝突は短時間の大きな力(衝撃力)として扱うのが特徴である

【反発係数(はんぱつけいすう)】

定義

反発係数とは、2物体が衝突したときの「はね返りやすさ」を表す量であり、衝突前後の相対速度の比として定義される。

イメージ

ボールを床に落とすと、よく跳ね返るボールもあれば、ほとんど跳ねないボールもある。この「どれだけ元の速さに近い状態で戻るか」を表しているのが反発係数である。

硬いボール同士の衝突では大きく、粘土のようなものでは小さくなる。

数式

反発係数 \(e\) は、衝突前後の相対速度を使って次のように表される。

\[e = \frac{v_2' - v_1'}{v_1 - v_2}\]

ここで、
\(v_1, v_2\) は衝突前の速度(m/s)、
\(v_1', v_2'\) は衝突後の速度(m/s)である。

また、床との衝突のように一方が固定されている場合は、

\[e = \frac{跳ね返り後の速さ}{衝突前の速さ}\]

と簡単に表せる。

ポイント

  • 反発係数は \(0 \le e \le 1\) の範囲をとる(理想条件)
  • \(e = 1\) のときは完全弾性衝突、\(e = 0\) のときは完全非弾性衝突である
  • 相対速度で考えることが重要で、単なる速さの比ではない

【弾性衝突(だんせいしょうとつ)】

定義

弾性衝突とは、衝突の前後で力学的エネルギー(特に運動エネルギー)が保存される衝突である。
このとき、運動量も同時に保存される。

イメージ

2つの物体がぶつかっても、つぶれたり熱になったりせず、運動のエネルギーがそのまま別の形で分配されるイメージである。
例えば、硬いビリヤード球どうしがぶつかると、速度をやり取りしながら跳ね返る。このような衝突が弾性衝突である。

数式

弾性衝突では、次の2つが同時に成り立つ。

運動量保存
\[m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2'\]

運動エネルギー保存
\[\frac{1}{2} m_1 v_1^2 + \frac{1}{2} m_2 v_2^2 = \frac{1}{2} m_1 {v_1'}^2 + \frac{1}{2} m_2 {v_2'}^2\]

ここで、m は質量(kg)、v は衝突前の速度(m/s)、v' は衝突後の速度(m/s)である。

ポイント

  • 弾性衝突では「運動量」と「運動エネルギー」の両方が保存される
  • 実際の衝突では完全な弾性衝突は少なく、理想的なモデルとして扱う
  • 1次元衝突では「相対速度が逆符号で等しい」という関係が成り立つ

【非弾性衝突(ひだんせいしょうとつ)】

定義

非弾性衝突とは、衝突の前後で運動量は保存されるが、運動エネルギーは保存されない衝突のことである。
衝突によって、一部の運動エネルギーが熱や音、変形などの他のエネルギーに変わる。

イメージ

たとえば、粘土のかたまり同士をぶつけると、衝突後にくっついて一緒に動くことがある。このとき、速さは小さくなり、もとの運動エネルギーの一部は変形に使われて失われる。

また、ボール同士の衝突でも、完全には跳ね返らず、少しエネルギーが失われる場合は非弾性衝突である。

数式

運動量保存は成り立つ。

\[m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2'\]

ここで、\(m\) は質量(kg)、\(v\) は衝突前の速度(m/s)、\(v'\) は衝突後の速度(m/s)である。

一方で、運動エネルギーは一般に保存されない。

\[\frac{1}{2} m_1 v_1^2 + \frac{1}{2} m_2 v_2^2 \neq \frac{1}{2} m_1 v_1'^2 + \frac{1}{2} m_2 v_2'^2\]

特に、完全にくっつく場合(完全非弾性衝突)では、衝突後の速度は共通になる。

\[v' = \frac{m_1 v_1 + m_2 v_2}{m_1 + m_2}\]

ポイント

  • 運動量は常に保存されるが、運動エネルギーは減少する
  • 失われたエネルギーは、熱・音・変形などに変わる
  • 完全にくっつく場合は「完全非弾性衝突」と呼ばれる

円運動・振動

【等速円運動(とうそくえんうんどう)】

定義

等速円運動とは、物体が一定の速さで円軌道を動き続ける運動である。速さは変わらないが、進む向きが常に変化しているため、加速度が存在する運動である。

イメージ

ひもにつけたおもりを回している状態を考えるとよい。速さは一定でも、進む方向は円に沿って絶えず変わる。そのため、物体は外へ飛び出そうとし、それを引き止める力が必要になる。

数式

等速円運動では、円の中心に向かう加速度(向心加速度)は次の式で表される。

\[a = \frac{v^2}{r}\]

ここで、\(a\) は加速度(m/s²)、\(v\) は速さ(m/s)、\(r\) は円の半径(m)である。

また、向心力は次のように表される。

\[F = m \frac{v^2}{r}\]

ここで、\(m\) は質量(kg)である。

ポイント

  • 速さが一定でも、向きが変わるため加速度は存在する
  • 加速度と力は常に円の中心方向を向く(向心)
  • 外に引っ張られる「遠心力」は見かけの力であり、実際の力ではない

【向心力(こうしんりょく)】

定義

向心力とは、円運動している物体において、円の中心に向かって働く力のことである。
この力によって、物体の進行方向が常に変化し、円運動が保たれる。

イメージ

ひもでつながれたおもりを回すとき、おもりは外に飛び出そうとするが、ひもが引き止めることで円を描いて運動する。
このとき、ひもが中心に向かって引く力が向心力である。

数式

向心力 \(F\) は、質量 \(m\)(kg)、速さ \(v\)(m/s)、半径 \(r\)(m)を用いて次のように表される。

\[F = \frac{mv^2}{r}\]

また、角速度 \(\omega\)(rad/s)を用いると、

\[F = m\omega^2 r\]

と表される。

ポイント

  • 向心力は特別な力ではなく、張力や重力など既存の力の「中心向き成分」である
  • 向心力がなくなると、物体は円運動をやめて接線方向に進む
  • 速さが大きいほど、また半径が小さいほど向心力は大きくなる

【角速度(かくそくど)】

定義

角速度とは、物体が回転運動するときに、単位時間あたりにどれだけ角度が変化するかを表す量である。回転の速さを角度で表したものであり、回転の向きも含めて扱う量である。

イメージ

円運動をしている物体を考えると、位置は時間とともに角度で変わっていく。
例えば、同じ円を回っていても、速く回るものは短い時間で大きな角度を進む。この「角度の進み方の速さ」が角速度である。
また、1周するのにかかる時間が短いほど、角速度は大きくなる。

数式

角速度 \(\omega\) は、回転角 \(\theta\) と時間 \(t\) を用いて次のように定義される。

\[\omega = \frac{\theta}{t}\]

ここで、\(\omega\) は角速度(rad/s)、\(\theta\) は回転角(rad)、\(t\) は時間(s)である。

等速円運動では、周期 \(T\) を用いて

\[\omega = \frac{2\pi}{T}\]

とも表される。

ポイント

  • 角速度は角度の変化で定義され、単位は rad/s を用いる
  • 同じ円運動では、周期が短いほど角速度は大きい
  • 速度とは異なり、半径に関係なく回転の速さを表す量である

【周期・振動数(しゅうき・しんどうすう)】

定義

周期とは、同じ運動や状態が1回繰り返されるのにかかる時間である。
振動数とは、1秒間にその運動が何回繰り返されるかを表す量である。

周期を \(T\)、振動数を \(f\) とすると、両者は互いに逆数の関係にある。

イメージ

ブランコの往復運動を考えると、元の位置に戻るまでの時間が周期である。
一方で、1秒間に何回往復できるかを数えたものが振動数である。

周期が長いとゆっくりした動きになり、振動数は小さくなる。
逆に周期が短いと速い動きになり、振動数は大きくなる。

数式

周期と振動数の関係は次のように表される。

\[f = \frac{1}{T}\]

\[T = \frac{1}{f}\]

ここで、
\(T\) は周期(s)、
\(f\) は振動数(Hz)である。

また、円運動や波動では角周波数 \(\omega\) を用いて

\[\omega = 2\pi f\]

と表されることもある。

ポイント

  • 周期と振動数は逆数の関係にあり、どちらかが大きくなるともう一方は小さくなる
  • 周期は「1回にかかる時間」、振動数は「1秒あたりの回数」である
  • 単位は周期が s、振動数が Hz(=1/s)である

【慣性力(かんせいりょく)】

定義

慣性力とは、加速している座標系(非慣性系)で観測したときに、物体に働いているように見える見かけの力である。
この力は実際の相互作用によるものではなく、観測している座標系の加速度によって生じる。

イメージ

電車が急に発進すると、体が後ろに引かれるように感じる。このとき、実際に後ろから押されているわけではないが、電車の中では後ろ向きの力を受けているように見える。

また、カーブを曲がる車の中では、体が外側に引っ張られる。このようなときに感じる力が慣性力である。

つまり、加速している乗り物の中では、外から見ると存在しない力が働いているように見える。

数式

加速度 \(a\)(m/s²)で動く座標系において、質量 \(m\)(kg)の物体に働く慣性力 \(F\) は次のように表される。

\[F = -ma\]

ここで、マイナスは座標系の加速度と逆向きに力が働くことを表す。

ポイント

  • 慣性力は実際の力ではなく、加速している座標系で導入される「見かけの力」である
  • 向きは座標系の加速度と逆向きになる
  • 慣性力を導入すると、非慣性系でも運動方程式をそのまま使える

【遠心力(えんしんりょく)】

定義

遠心力とは、回転している座標系の中で見たときに、物体が回転の中心から外向きに受けるように見える力である。これは実際に外から働く力ではなく、回転運動を説明するために導入される見かけの力である。

イメージ

回転する遊園地のコーヒーカップに乗っていると、外側に押しつけられるように感じる。このとき、外向きに引っ張られる感覚が遠心力である。

また、ひもにつけたおもりを円運動させると、おもりは外へ飛び出そうとする。このときに感じる外向きの力が遠心力である。

数式

遠心力の大きさは次のように表される。

\[F = \frac{mv^2}{r}\]

ここで、\(F\) は遠心力(N)、\(m\) は質量(kg)、\(v\) は速さ(m/s)、\(r\) は円運動の半径(m)である。

また、角速度 \(\omega\)(rad/s)を用いると、

\[F = m \omega^2 r\]

とも表される。

ポイント

  • 遠心力は実在する力ではなく、回転している立場で見たときに現れる見かけの力である
  • 向きは常に中心から外向きであり、向心力とは反対向きになる
  • 等速円運動では、向心力と大きさが等しく向きが逆の関係になる

【単振動(たんしんどう)】

定義

単振動とは、物体が一定の位置(つり合いの位置)のまわりを、同じ周期で往復運動する運動のうち、復元力が変位に比例して働く運動である。
このとき、力は常に中心に引き戻す向きに働く。

イメージ

ばねに取り付けたおもりを引っ張って離すと、おもりは行ったり来たりを繰り返す。この運動が単振動の典型例である。

動きのポイントは、
- 中心から離れるほど強く引き戻される
- 中心では最も速く動く
- 端では一瞬止まって折り返す

という規則性をもつことである。

また、振り子の小さい振れも、近似的に単振動として扱うことができる。

数式

単振動では、復元力は変位に比例して働く。

\[F = -kx\]

ここで、
\(x\) は変位(m)、\(k\) はばね定数(N/m)である。
マイナスは、力の向きが変位と反対であることを示す。

運動方程式は

\[m\frac{d^2x}{dt^2} = -kx\]

となる。

この運動の解は、位置が時間に対して次のように変化する形になる。

\[x = A \cos(\omega t + \phi)\]

ここで、
\(A\) は振幅(m)、\(\omega\) は角振動数(rad/s)、\(\phi\) は初期位相である。

角振動数は

\[\omega = \sqrt{\frac{k}{m}}\]

周期 \(T\) は

\[T = \frac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}\]

で表される。

ポイント

  • 復元力が「変位に比例」することが単振動の本質
  • 位置・速度・加速度はすべて時間に対して周期的に変化する
  • ばね振動や小振幅の振り子は単振動として扱える

【ばね振り子(ばねふりこ)】

定義

ばね振り子とは、ばねにつけられた物体が、ばねの弾性力によってつり合いの位置のまわりを往復する運動であり、単振動の一種である。

イメージ

ばねにおもりをつけて引っ張ってから手を離すと、おもりは元の位置に戻ろうとして動き、そのまま行き過ぎて反対側へ動く。この動きが繰り返される。

このとき、おもりは常に「元の位置に戻ろうとする力」を受けており、その力の大きさは変位が大きいほど強くなる。

数式

ばね振り子では、ばねの力はフックの法則に従う。

\[F = -kx\]

ここで、\(F\) はばねの力(N)、\(k\) はばね定数(N/m)、\(x\) はつり合い位置からの変位(m)である。

運動方程式は次のようになる。

\[m\frac{d^2 x}{dt^2} = -kx\]

このとき、周期 \(T\) は次の式で表される。

\[T = 2\pi \sqrt{\frac{m}{k}}\]

ここで、\(m\) は質量(kg)である。

ポイント

  • ばね振り子の運動は単振動であり、力は常に変位に比例してつり合い位置へ向かう
  • 周期は振幅には依存せず、質量 \(m\) とばね定数 \(k\) のみで決まる
  • 重力があっても、つり合い位置がずれるだけで周期は変わらない

【単振り子(たんしんりこ)】

定義

単振り子とは、軽くて伸び縮みしない糸の先に質点をつけ、重力のもとで揺れる運動をする系である。振れ角が小さいとき、周期が一定となる単純な振動(単振動)として扱うことができる。

イメージ

天井から糸でおもりをつるし、少し横に引いて離すと左右にゆれる。このとき、おもりは中心に戻ろうとする力を受けながら往復運動する。振れが小さいときは、同じ時間で一定のリズムでゆれ続ける。

数式

振れ角が小さいとき、単振り子の周期 \(T\) は次の式で表される。

\[T = 2\pi \sqrt{\frac{l}{g}}\]

ここで、\(l\) は糸の長さ(m)、\(g\) は重力加速度(m/s²)である。

また、微小振動の近似では、単振り子は単振動として扱うことができる。

ポイント

  • 振れ角が小さいときにのみ単振動として近似できる
  • 周期は質量に依存せず、糸の長さと重力加速度で決まる
  • 振幅が大きくなると周期はわずかに長くなる(厳密には一定でない)

万有引力

【万有引力(ばんゆういんりょく)】

定義

万有引力とは、質量をもつすべての物体の間にはたらく引力である。
どんなに離れていても必ずはたらき、その大きさは物体の質量と距離によって決まる。

イメージ

地球の上にある物体が地面に引き寄せられるのも、月が地球のまわりを回るのも、同じ万有引力によるものである。
つまり、身近な「重力」も、宇宙の天体の運動も、同じ法則で説明できる。

数式

万有引力の大きさは次の式で表される。

\[F = G \frac{m_1 m_2}{r^2}\]

ここで、
\(F\) は力(N)、
\(m_1, m_2\) はそれぞれの質量(kg)、
\(r\) は2物体間の距離(m)、
\(G\) は万有引力定数である。

ポイント

  • 万有引力はすべての質量の間にはたらき、必ず引力である
  • 距離が2倍になると、力は1/4になる
  • 地上での重力も、万有引力の一種である

【重力(万有引力との関係)(じゅうりょく)】

定義

重力とは、地球などの天体が物体に及ぼす引力のことであり、万有引力のうち、特に地球が物体に及ぼす力を指す。

イメージ

地面に物体を落とすと下に引かれるが、これは地球が物体を引いているためである。
この力は、実際には地球と物体の間に働く万有引力であり、地球の近くではほぼ一定の大きさになるため、重力としてまとめて扱う。

数式

重力は次のように表される。

\[F = mg\]

ここで、\(F\) は重力(N)、\(m\) は質量(kg)、\(g\) は重力加速度(m/s²)であり、地表付近では約 \(9.8\ \mathrm{m/s^2}\) である。

一方、万有引力は次の式で表される。

\[F = G \frac{Mm}{r^2}\]

ここで、\(G\) は万有引力定数、\(M\) は地球の質量(kg)、\(r\) は地球中心からの距離(m)である。

地表付近では \(r\) がほぼ一定なので、この式は \(mg\) の形に近似できる。

ポイント

  • 重力は万有引力の特別な場合であり、地球付近での近似である
  • \(g\) は場所によってわずかに変化する(高度や緯度による)
  • 質量 \(m\) は変わらないが、重力の大きさ \(mg\) は場所によって変わる

【ケプラーの法則(けぷらーのほうそく)】

定義

ケプラーの法則とは、惑星が太陽のまわりをどのように運動するかを表す3つの経験的な法則である。観測から導かれたもので、万有引力の法則と組み合わせることで、天体の運動を理解する基礎となる。

イメージ

惑星は円ではなく、少しつぶれた楕円の軌道で太陽のまわりを回る。そして、太陽に近いときは速く動き、遠いときはゆっくり動く。また、遠い惑星ほど1周するのに長い時間がかかる。

数式

ケプラーの法則は次の3つからなる。

第1法則(楕円軌道の法則) 惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描く。

第2法則(面積速度一定の法則) \[\frac{dS}{dt} = \text{一定}\]

ここで、\(S\) は太陽と惑星を結ぶ線が掃く面積(m²)、\(t\) は時間(s)である。

第3法則(周期の法則) \[T^2 \propto a^3\]

ここで、\(T\) は公転周期(s)、\(a\) は軌道の長半径(m)である。

ポイント

  • 惑星の速さは一定ではなく、太陽に近いほど速くなる
  • 第3法則は、すべての惑星で同じ比例関係が成り立つ
  • 万有引力の法則と組み合わせると、運動の理由まで説明できる

【万有引力による位置エネルギー(ばんゆういんりょくによるいちえねるぎー)】

定義

万有引力による位置エネルギーとは、重力(万有引力)によって、2つの質量の間に生じる位置によるエネルギーである。
物体同士の距離によって決まり、互いに引き合う力のもとでのエネルギーを表す。

イメージ

地球と物体の関係で考えると、物体が地球から遠いほど「引き寄せられる余地」が大きく、エネルギーが大きい状態にある。
逆に、地球に近づくほどエネルギーは小さくなる。

つまり、「遠いほどエネルギーが大きく、近いほど小さい」と考えると理解しやすい。
ただし、このエネルギーは常に負の値で表される点に注意する。

数式

万有引力による位置エネルギー \(U\) は次の式で表される。

\[U = - \frac{G M m}{r}\]

ここで、
\(U\) は位置エネルギー(J)
\(G\) は万有引力定数
\(M\) は天体の質量(kg)
\(m\) は物体の質量(kg)
\(r\) は2つの物体の中心間の距離(m)である。

ポイント

  • 距離 \(r\) が大きいほどエネルギーは 0 に近づく(無限遠で 0)
  • 常に負の値をとる(引力で結びついているため)
  • 地表付近では \(mgh\) で近似できるが、本来はこの式が基本である
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